カタログ番号 / ID. 1054578
HiSpeed Plasmid MegaおよびGiga EF Kitsは、吸入駆動、ラージスケールでの陰イオン交換ベースのプラスミドDNA調製を行ない、最終プラスミドDNAの溶出に必要な遠心分離ステップは1回のみです。精製されたDNAは、CsCl密度勾配遠心法を2回行なって得られる純度に匹敵し、トランスフェクショングレードのアプリケーションに適しています。本プロトコールにはQIAvac HiSpeed LS吸入マニホールドが必要です。
HiSpeed EF Mega Giga KitsではQIAvac HiSpeed LSを併用する必要があります。
HiSpeed Plasmid MegaおよびGiga EF Kitsには、QIAfilter Cartridges、HiSpeed Tips、QIAconcentratorモジュールが含まれており、吸入マニホールドによる高速ラージスケールのプラスミド調製を行えます。吸入駆動のQIAfilterモジュールは、従来の陰イオン交換操作手順における遠心分離ステップを代替するもので、精製がより迅速に簡便になります。QIAconcentratorは、エタノール沈殿後の遠心分離により、高濃度のDNAを得るものです。500 ml、2.5リットルの培養液から、それぞれ最大2.5 mg (Mega)、10 mg (Giga)の高コピープラスミドDNAを精製できます(培養液の量はプラスミドのコピー数、添加サイズ、宿主株、培養媒体に依存します)。HiSpeed Tipのデザインにより、極めて高流量となり、プラスミド精製を迅速に進めるためのDNA結合、洗浄、溶出の各ステップが可能になります。HiSpeedによるプラスミドDNAはエンドトキシンフリーです(<0.04 EU/µg DNA)。
HiSpeed Tips内にある独自の陰イオン交換樹脂は、核酸の精製専用に開発されています。本製品の優れた核酸分離能力により、CsCl密度勾配遠心法を2回連続で行なって得られるDNA純度に匹敵するかそれ以上となります。HiSpeed Plasmid MegaおよびGiga EF Kitsは、溶解ステップ中に放出され、初代細胞や感受性の高い細胞株へのトランスフェクションに影響を与えるバクテリアのエンドトキシンを除去します。HiSpeed Plasmid Mega/Giga EF Kitsを用いて得られたエンドトキシンを含まないDNAは、トランスクフェション実験に最適で、再現性が高く信頼できる結果が得られます。また、QIAGENの超高純度なエンドトキシンフリーなDNAは、遺伝子治療研究やその他の高感度なアプリケーションにも適しています。
QIAfilter Cartridges(図「 QIAfilter Mega-Giga Cartridge」を参照)は、バクテリア細胞のアルカリ溶解に続く遠心分離ステップを代替するために設計された特別なフィルターユニットです。遠心分離に比べわずかな時間で、SDS沈殿物を完全に除去し、バクテリア溶解物の不純物を除去します。充填済みのHiSpeed Tipsは、自然落下で作動し乾燥することがなく、プラスミド調製に要する直接の作業時間を短縮できます。
独自のQIAconcentrator(図「 HighSpeed Plasmid Giga EF操作手順」を参照)は、精製後にイソプロパノールで沈殿したDNAを回収するために従来行われてきた遠心分離ステップの代替となります。沈殿したDNAは、QIAconcentratorモジュールで捕獲され、イソプロパノールやバッファーは通過します。その語、このDNAはQIAprecipitatorからTEバッファーあるいは水の入った採取チューブに溶出されます。また、この独自のモジュールにより、遠心操作後に上清を除去する際に起こり得るペレット損失リスクもなくなりました。
リポ多糖類またはLPSとして知られているエンドトキシンは、E. coliなどのグラム陰性菌の細胞膜成分です(図「 バクテリア細胞壁」を参照)。エンドトキシンはプラスミド精製の溶解ステップ中に放出され、エンドトキシン感受性細胞株へのトランスフェクション効率を著しく低下させます。さらにエンドトキシンは、DNAと結合していない「フリー」なトランスフェクション試薬と競合して、トランスフェクション実験でのプラスミドDNAの取り込みに影響することがあります。
またエンドトキシンは、マクロファージやB細胞などの免疫細胞において免疫応答を非特異的に活性化するため、誤ったトランスフェクションの解釈につながることがあります。これらの応答には、IL-1やプロスタグランジンなどのタンパク質や脂質の生産誘導も含まれます。全体的に見ると、エンドトキシンの混入はトランスフェクション実験のセットアップにおいてコントロールできない変動要素となるため、実験結果およびその再現性に影響し、結果の比較および解釈が困難になります。さらに遺伝子治療において、エンドトキシンはエンドトキシンショック症候群や、補体系カスケードの活性化を招いて影響することがあります。
| 特徴 | HiSpeed Plasmid Mega EF Kit | HiSpeed Plasmid Giga EF Kit | |
| アプリケーション | トランスフェクション、クローニングシークエンシング、遺伝子サイレンシング | トランスフェクション、クローニングシークエンシング、遺伝子サイレンシング | |
| 培養液量/出発物質 | 培養液量500 ml | 培養液量2.5リットル | |
| プラスミドタイプ | 高コピー、コスミドDNA | 高コピー、コスミドDNA | |
| 処理 | 吸入、遠心分離 | 吸入、遠心分離 | |
| ランあたりのサンプル | ランあたり6サンプル | ランあたり6サンプル | |
| 技術 | 陰イオン交換テクノロジー | 陰イオン交換テクノロジー | |
| ラン1回あたりの時間 | 50分 | 50分 | |
| 収量 | 2.5 mg | 10 mg | |
中和したバクテリア溶解物をQIAfilter Cartridgeでインキュベートし、吸入ですぐに不純物を除去します。この段階で、フィルタリングした溶解物に、エンドトキシン除去バッファーを添加します。インキュベーションは不要です。濾過物をHiSpeed tipにアプライしてプラスミドDNAを精製します(図「 HighSpeed Plasmid Giga EF操作手順」を参照)。溶出したDNAをイソプロパノールで混和し、吸入でQIAconcentratorにアプライし、洗浄します。次に、濃縮され脱塩されたDNAは、QIAconcentratorからTE バッファーまたは水が入った未使用の採取チューブに直接溶出されます。
HiSpeed Plasmid MegaおよびGiga EF Kitsを用いて精製したDNAは、クローニングやシークエンシングから、感受性の非常に高い細胞や初代細胞のトランスフェクション、プラスミド媒介の遺伝子サイレンシングに至るまで、あらゆるアプリケーションにおいて卓越した結果をもたらします。
