FFPE サンプルからの核酸精製について

FFPE コアグループ通信 Vol. 2
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FFPE コアグループ通信は、FFPE をサンプルとして扱う際の困難な点や、Tips など、より迅速で簡便な解析を行なっていただくための解決策をご提供しています。

前回はサンプルの固定方法についてお知らせいたしました。今回は、FFPEサンプルからの核酸精製についてご紹介をいたします。

FFPE サンプルの保存について
FFPE サンプルからの核酸精製について

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固定して、パラフィン包埋をした後のサンプルにおいて、特に不安定なRNA は保存条件により分解を起こします。包埋後に4℃、室温、37℃で12か月固定したサンプルから精製したRNA の分解度を比較してみますと、どの組織においても温度が高い状態での保存の方が分解の度合いが進みます。また、分解が進めば、その分検出も難しくなります(小冊子“病理組織切片の解析”の9ページ、図4 および図5、von Ahlfen et al.[2007] Determinants of RNA quality from FFPE samples. PloS ONE 12, e1261 参照)。このことから、核酸精製をする可能性のあるFFPE サンプルは、低温での保存が望ましいといえます。しかし、実際の現場では、既に室温で保存されているサンプルも多くあると思われます。その場合は、ある程度分解した核酸が精製されてくることを予想しておかないといけないということになります。
一方、miRNA においては、mRNA ほどの大きな影響は受けません(小冊子“病理組織切片の解析”の9ページ、図5)。


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以前ご紹介した脱パラフィン、固定方法、核酸の分解などをふまえ、FFPEサンプルからの核酸精製については、新鮮なサンプルからのものと異なり、特に以下の点が必要不可欠な要因です。

  1. 脱パラフィン
    パラフィンが残っていると、後で行なうアプリケーションに悪影響を及ぼします。しかし、入念にパラフィンを取り除くことは非常に手間がかかり、サンプルや核酸を誤って捨ててしまう可能性もあります。FFPE サンプルの脱パラフィン処理 でこれらの問題を回避しつつ、簡単にパラフィンを除去できる試薬をご紹介しております。ご参考ください。

  2. タンパク質の分解
    サンプル中では、核酸同士、核酸とタンパク質がホルマリンによりクロスリンクしています。そのため、QIAGEN のキットでは核酸精製において、Proteinase K を使った処理を行ない、核酸の遊離と可溶化をします。 

  3. 脱クロスリンク
    前述の通り、FFPE サンプル中では、ホルマリンにより核酸同士または核酸とタンパク分子間でクロスリンクが生じています。クロスリンクは精製にも影響を及ぼし、また、精製後のアプリケーションにおいても悪影響があります。この脱クロスリンクには、一般的に熱処理が行なわれます。しかし、過剰な熱処理はさらなる核酸の分解を起こし、熱処理が不足した場合は十分な脱クロスリンクが行なわれません。FFPE サンプルからの核酸精製ではこの「過剰に熱を加えすぎず」かつ「脱クロスリンクを適度に行なう」という条件で核酸精製を行なうことが非常に重要になります。

QIAGEN の各精製キットは、この脱クロスリンクにおける加熱条件について、様々な温度条件、時間により最適化を行なったプロトコールを提供しています。

繰り返しになりますが、FFPE サンプルの核酸は、保存方法や固定、パラフィン包埋の工程で断片化を起こしていることが多いため、高収量・高精製度な核酸精製のためには、これ以上の断片化が起こらないようにすること(熱処理をしない)、精製した核酸がワークするようにすること(熱処理をする)という、相反する条件において最適化されている必要があります。QIAGEN のキットは、この条件がきちんと最適化されています。

また、FFPE サンプルの場合、もし最適な条件で精製を行なった場合としても、精製前にある程度核酸は分解してしまっているため、精製後につきまして次の点にご注意ください。

  • 精製後のにqPCR やPCR を行なう場合は、プライマーは、できるだけ短いアンプリコンになるように設計してください。
  • 短い核酸は吸光度の数値が高くなりますので、実際の収量と測定値が異なることがあります。


FFPE からの核酸キット のページでは、核酸ごとにおける精製キットを詳しくご紹介いたします。

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パンフレット
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FFPE サンプルの分子解析における重要なファクター
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